リピート購入を増やすEC施策|成功する戦略と具体的な施策例

この記事でわかること
  • リピーターが売上全体に与える影響
  • 顧客生涯価値の向上
  • 新規顧客獲得と比較したコスト効率
リピート購入を増やすEC施策|成功する戦略と具体的な施策例

ECサイトでは、リピート購入による売上も少なくありません。リピート購入を増やせれば安定した売上や収益が見込めます。また、リピーターに購入させるためのコストは、新規顧客を獲得するコストよりも安く抑えやすいというメリットもあります。

そのため「どうにかしてリピート購入を増やせないか」「リピートを増やすにはどのような施策をすれば良いのか」と悩んでいるECサイト担当者の方も多いのではないでしょうか。

本記事では、ECサイトでリピート購入が重要な理由やリピート施策の具体例、最新トレンドやリピート施策を導入する際の注意点などを解説しますので、ぜひ参考にしてください。

ECサイトでリピート購入が重要な理由

ECサイトでリピート購入が重要視される理由は、主に以下の3つです。

  • リピーターが売上全体に与える影響
  • 顧客生涯価値(LTV)の向上
  • 新規顧客獲得と比較したコスト効率

次項から、各項目の詳細を解説していきます。

リピーターが売上全体に与える影響

ECサイトでは、リピーターによる購入額が全体の売上の約50%~70%を占めることも少なくありません。そのため、リピーターによる購入は売上基盤の安定化に大きく影響します。

ECサイトの運営を続けていくには、安定した売上が求められます。よって、安定して収益を得られるリピーターを増やすことで、持続的な成長にもつながります。

また、リピーターを多く獲得して安定した収益を得ることで、新規顧客の獲得や新商品の開拓といったその他の戦略にリソースを割く余裕も生まれるでしょう。

顧客生涯価値(LTV)の向上

ECのサイトの運営では、LTVを高めることも大切です。LTVとは顧客生涯価値の略で、その顧客が初めて取引をしてから最後の取引を終えるまでに総額でいくら使うかを表した指標です。

リピート率を高めると顧客の取引回数が増えるため、LTVも向上し、総合的な売上の増加も見込めるでしょう。

新規顧客獲得と比較したコスト効率

既存顧客へのアプローチは、新規顧客を獲得するよりも低コストで効率良く行えます。

マーケティング理論の1つである「1:5の法則」では、新規顧客の獲得コスト(CAC)は既存顧客にアプローチする場合の5倍のコストがかかるとされています。

そのため、既存顧客へのアプローチに注力することでコストを抑えると、利益率を効率良く伸ばせるでしょう。

ECサイトのリピート施策の具体例と活用方法

ECサイトのリピート施策の例を4つ紹介しますので、参考にしてください。

  • ポイントプログラムの導入と活用例
  • パーソナライズされたリマーケティング施策
  • 特別感を与える限定オファーや特典

ポイントプログラムの導入と活用例

ECサイトでリピーターを増やすには、ポイントプログラムの導入が効果的です。例えば、購入額に応じてポイントを付与して、次回購入時にポイントを使って割引するなどの施策が良く利用されています。

また、同じような効果のある施策として割引クーポンの配布も有効です。ただし、ポイントプログラムの導入やクーポンの配布は値引きをすることになるため、利益率が下がってしまうことに注意が必要です。

ポイントプログラムを導入する際は、増加を見込める売上や利益率を考慮したうえでポイントの還元率を設定しましょう。

定期購入サービスの設計と利点

リピート施策として、定期購入サービスの導入も効果的です。

定期購入モデルを導入してユーザーに提案することで、日用品や消耗品などの定期的に需要が発生する商品をリピート購入してもらえます。そのため、安定した収益源を構築したい場合に有効です。

ただし、定期購入の解約方法や期限などを明示することが特定商取引法により義務付けられているので、忘れずに記載しましょう。

パーソナライズされたリマーケティング施策

既存顧客の購入履歴や閲覧履歴を活用して、パーソナライズ(顧客に最適化)した広告やメールを配信するリマーケティング施策も有効です。

顧客に合わせて興味を持ちそうな商品の情報を提供することによって再訪問を促し、リピーターを増やします。メールマガジンやLINE、SMS(携帯電話やスマートフォンのショートメッセージサービス)などを活用してリマーケティングをするとコストを抑えられます。

特別感を与える限定オファーや特典

特別な割引や限定商品を提供し特別感を与えて、顧客満足度を向上させるリピート施策も有効です。

例えば、会員情報の生年月日を参照して誕生日に合わせて誕生日割引を提供したり、会員登録をした日から数えた記念日に特別割引をしたりする施策などがあります。

また、リピーターとして何度も購入していると特典がつく仕組みなども有効です。

ECサイトのリピート施策の最新トレンド

ECサイトのリピート施策は、業界や時期によっても変化します。本項目では、2024年冬時点でのトレンドを3つ紹介します。

  • サブスクリプションモデルの導入
  • LINEやチャットボットを使ったリピート促進
  • 顧客心理を活かした購入後フォローの新しい手法

次項から、各項目の詳細を解説していきます。

サブスクリプションモデルの導入

サブスクリプションモデルをECにも導入することで、定期的なリピート購入を獲得できます。サブスクリプションモデルとは、定額を支払うと一定期間サービスを利用できる販売モデルです。

単に商品を定期的に販売するだけでなく、毎月新商品を提供したり、提供する商品を毎回変えたりするモデルも提供されていることが特徴です。

例えば、知育玩具メーカーが子どもの成長段階に合わせた知育玩具を定期的に提供することで「顧客が商品を選ぶ手間を減らす」という付加価値を加え、継続率を高めることを狙うといった運用が考えられます。

LINEやチャットボットを使ったリピート促進

リピート購入を増やすには、LINE公式アカウントなどを利用して既存顧客に定期的にアプローチしていく施策も有効です。LINEで定期的に新商品情報や特典情報を発信することで、ECをサイトへの再訪問を促し、購入につなげます。

また、AIで自動的に応対するチャットボットを導入する施策も有効です。AIチャットボットによって問い合わせに対して時間帯を問わず素早い対応が可能になり顧客満足度が上がります。その結果として、リピーターの獲得につながります。

顧客心理を活かした購入後フォローの新しい手法

リピーターを増やすには、顧客心理を活用した購入後のフォロー施策が有効です。

例えば、購入後に感謝を伝えるフォローメールを送信したり、購入した商品の使い方を分かりやすく説明する動画を用意したりするなどの施策で顧客満足度を高められます。

購入後のフォローメールを送る際は「この商品を購入した人はこんな商品も購入しています」などのレコメンド施策を合わせて行うと、ECサイトへの再訪問率も高められるでしょう。

ECサイトでのリピート施策例

ECサイトの運営では、施策例からリピート施策の具体的な方法や効果を学ぶことが大切です。本項目では、ECサイトでのリピート施策例を3つ紹介します。

  • 高頻度購入商品における施策例
  • 会員限定サービスでのリピート率向上
  • メールやSNSを活用したリピート促進

高頻度購入商品における施策例

食料品や日用品など、頻繁に購入される商品に対してリピートを促すことでリピーターによる売上を増やせます。

例えば、過去の購入履歴から次に購入すべきタイミングをAIで予測して、購入を促すメールやLINEを送るリピート施策を導入しリピート率を上げることができます。

また、普段購入している商品の情報からおすすめの商品や同じメーカーの新商品を判断し、メールやLINEで情報を提供することでECサイトへの再訪問を促す施策も有効です。

会員限定サービスでのリピート率向上

ECサイトでは、会員限定サービスを提供することも大切です。

例えば、会員限定割引や会員特典を提供することで「複数のECサイトを使うよりも、このECサイトでまとめて買う方がお得」と感じてもらいやすくなります。その結果として自社のECサイトでの購入頻度が増え、リピート率が向上します。

メールやSNSを活用したリピート促進

ECサイトと相性の良いリピート施策として、メールマーケティングやSNSキャンペーンがあります。

メールやメールマガジン、SNSでのキャンペーンを活用すると、コストを抑えながら既存顧客に再訪問や再購入を促すことが可能です。メールやSNSの投稿に設置されたリンクからECサイトに気軽に訪問できるため、ユーザーも気軽に再訪問できます。

限定オファーや特典の施策と組み合わせて、メールを受け取った人やSNSの投稿を見た人だけに割引をするなどの施策を行い、リピート率向上を狙うことができます。

ECサイトでリピート施策を成功させるためのKPIと効果測定

ECサイトを運営する際は、KPI(重要業績評価指標の略で、最終的な目標の達成に向けた進捗状況を定量的に測定する指標)を正しく設定することも大切です。

ECサイトの改善施策のうち、KIPとしてリピート施策に関わる指標には、購入頻度や再購入率(リピート率)、顧客満足度、メルマガ高読者数・開封率などがあります。

次項から、KPIのうち購入頻度や再購入率、顧客満足度について解説します。

購入頻度・再購入率の測定方法

購入頻度は、顧客1人あたりが一定期間内に何回購入したかを計上した指標です。一般的には1年や1ヶ月で区切って、購入した回数をカウントします。

再購入率は、新規顧客が商品を再購入した割合を表した指標です。以前からリピーターだった顧客は含まないので注意しましょう。2回以上購入した顧客の数÷新規顧客数で求められます。

リピート回数やリピーターになった割合を表す指標なので、基本的にはどのリピート施策を行っても向上します。

顧客満足度(CSAT)の向上を目指す評価指標

顧客満足度(CSAT)は、主にアンケートで集計した結果を元に集計・計算します。アンケートの回答数÷「満足」と回答した数で求められます。

顧客満足度を改善するには、サービスの改善や購入サポート、アフターサポートを充実させる施策が効果的です。例えば、AIによるチャットボットを導入して購入をリアルタイムにサポートすると良いでしょう。

データを活用した施策の最適化方法

顧客データは計測して収集するだけではほとんど意味がありません。データを活用して初めて効果を発揮します。そのため、収集した顧客データをもとに計画(plan)を立て、仮説をもとに実行(Do)し、効果を評価(Check)して対策・改善(Action)をするPDCAが重要です。

また、改善を一度で終わらせずにPDCAサイクルを構築して、継続的に計画・実行・評価・改善を繰り返していく仕組みを作ることもポイントです。

ECサイトでリピート施策を導入する際の注意点

ECサイトでリピート施策を導入する際の注意点はいくつかありますが、特に以下の2つの点に注意しましょう。

  • 過剰な割引が利益に与える影響
  • 顧客へのフォローアップと信頼関係の構築

過剰な割引が利益に与える影響

割引や特典の提供はリピート施策として効果的ですが、過剰に提供してしまうと利益率が低下してしまいます。そのため、利益率や増加すると見込まれる売上を考慮して無理のない範囲で割引や特典を提供することが大切です。

利益率が高い商品や目を引くための目玉商品だけに割引や特典を提供し、合わせて買われる商品で利益を上げるような工夫をすると良いでしょう。

顧客へのフォローアップと信頼関係の構築

リピート施策では、顧客との信頼関係の構築も重要です。割引やキャンペーンなどの施策で一時的にリピーターを増やしても、継続してリピートしてもらえないと利益を減らしただけで終わってしまうかもしれません。

購入後のフォローアップメールやカスタマーサポートの質を上げて、リピート購入を増やしつつリピーターの継続率も上げていくことがリピート施策を成功させるポイントです。

まとめ:リピート購入を増やしECビジネスを拡大する方法

売上全体の50%~70%を占めるとも言われるリピート購入は、ECビジネスを成功させるために大切な要素です。
リピーターが増えることで安定した収益が得られ、新しい施策や新商品の開発に割くリソースも確保しやすくなります。そのため、リピート施策をしてリピーターからの売上を増やすことが大切です。

リピーターを増やすには、特別割引や特典を提供したり、メールやLINEで再訪を促したり、顧客満足を高めるなどのリピート施策をすると良いでしょう。

本記事で紹介したリピート施策の効果や最新トレンド、リピート施策を導入する際の注意点などを参考にしてリピート購入を増やし、ECビジネスを拡大させましょう。