- ECにおけるレビューの重要性・効果
- レビューを増やすための具体的な施策
- レビューを増やす施策をする際の注意点

ECサイトの売上を増やすには、レビューを増やす施策が必要不可欠です。ECサイトの利用者の多くがレビューを参考にしており、商品の信頼性の向上や売上の増加につながっています。
しかしながら、どうすればレビューを増やせるのかが分からずに悩んでいる方も多いのではないでしょうか。本記事では、ECサイトにレビューがもたらす効果やレビューを増やすための施策、実施する際の注意点などを解説しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
ECサイトのレビューがもたらす効果
ECサイトにおいて、レビューは非常に重要な役割を果たします。その効果は多岐にわたりますが、主なものとして以下の4つが挙げられます。
- 商品の信頼性の向上
- SEOへの影響
- 商品の改善
- 顧客との関係性の構築
商品の信頼性の向上
商品レビューは、ユーザーに対して商品の信頼性をアピールする大きな要素です。
当社が2023年8月に実施したアンケート調査(回答数681件)によると、ECサイトの利用者の約96%がレビューを確認しており、約68%のユーザーがレビューを購入の決め手にしたことがあると回答しています。
また、同調査ではレビューの信用度合いに関しても「とても信用できる」が3.2%、
「まあまあ信用できる」「半分くらい信用できる」が合計90.6%と高い数字を出しています。
この調査結果から、良いレビューを増やす施策を行うことは商品の信頼性を向上させ、CVR(転換率)の向上にもつながると言えるでしょう。
SEOへの影響
商品レビューを増やすと、検索エンジンからの評価が高まる効果にも期待できます。
特にAmazonや楽天などの大手ECモール内の検索エンジンでは、より良い商品をユーザーに紹介するために、売れている商品やレビューの多い商品を優先的に検索結果に表示する傾向があります。
また、ECモールでは検索結果を評価順やレビュー数順に並び替える機能があるところも少なくないので、並び替えられたときに上位表示されやすくなる効果もあるでしょう。
商品の改善
商品レビューを多くもらえれば、商品に対して顧客が抱いている不満や要望が分かるため、商品を改善することにもつながります。
これらの情報を分析することで、商品の品質向上、機能改善、価格の変更、パッケージデザインの変更など、具体的な改善策を検討できます。
実際に購入して使用したユーザーからの生の意見を取り入れて改善することで商品の質が向上し、結果としてECサイトの売上向上にもつながるでしょう。
また、ユーザーが求めている商品のヒントを得られることから、新商品を開発する際の参考になることもあるかもしれません。
顧客との関係性の構築
商品レビューには、顧客との関係性を構築し、ファン化を促進する効果もあります。
寄せられたレビューに対して素早くていねいに返信できれば、顧客は「自分の意見が尊重されている」と感じるため、良好な関係性を構築できます。
顧客との良好な関係性は、リピート購入率の向上につながり、長期的な売上の安定化にも貢献してくれるでしょう。高評価のレビューだけでなく、低評価のレビューに対しても迅速に対応することが、顧客からの信頼を得るためには大切です。
レビューを増やすための施策例
レビューを増やすための施策には、以下のようなものがあります。
- 購入後にフォローメールを送る
- レビュー投稿キャンペーンを行う
- レビューしやすい導線を構築する
- レビューのお願いカードを同梱する
- SNSで告知する
- レビュー投稿ガイドラインを作成する
- レビューへ返信する
- レビューを分析して活用する
- レビュー促進ツールの活用
購入後にフォローメールを送る
商品が到着してユーザーが使用するタイミングや使用したであろうタイミングに合わせて、レビュー依頼のメールを送りましょう。簡単な例を紹介します。
◯◯様
(ショップ名)の◯◯です。
先日は当店で◯◯(商品名)をご購入いただき誠にありがとうございました。
商品は無事に届いていますでしょうか。◯◯(商品名)について、気に入っていただけた点や気になった点、不明な点などがございましたら、ぜひご意見をお聞かせください。
(ポイント付与などのレビュー施策がある場合はここに記載)
(レビューをしてもらうためのURL)
今後とも、当店(ショップ名)をどうぞよろしくお願いいたします。
(会社の概要)
レビュー依頼のメールで押さえておくポイントは、主に以下の5つです。
- 商品到着後、適切なタイミングでレビュー依頼メールを送る
- 相手の名前を最初に入れて「自分宛てだ」と思わせる
- 感謝の気持ちを伝えつつ、レビュー投稿のお願いをする
- レビュー投稿ページへのリンクを必ず記載し、ユーザーの手間を減らす
- レビューに対してリターンがある施策を行っている場合は必ずアピールする
ユーザーはメールを読んでも少し時間が空くと忘れてしまうので、商品が届いて利用したタイミングを見計らって送ることが大切です。
また、ECモールの機能を利用してレビュー依頼メールを送る際は、外部への誘導が禁止されているケースも少なくないので、その場合は自社サイトのURLなどは省略しましょう。
レビュー投稿キャンペーンを行う
レビューを増やすには、レビューを投稿することによってユーザーが得するキャンペーンを行うことが効果的です。例えば、以下のようなキャンペーンが挙げられます。
- レビュー投稿者向けの特典を用意する
- クーポンやポイント付与、プレゼント企画を行う
- 期間限定キャンペーンを実施する
ただし、ECモールによっては規約で禁止されている場合があるので注意しましょう。例えば、楽天ではレビュー投稿を条件とした特典の付与は、原則としてペナルティ対象です。また、Amazonでは特典を付与したレビュー依頼を禁止しています。ECモールでレビュー施策を行う際は、必ず規約を確認しましょう。
また、2023年に景品表示法(不当景品類及び不当表示防止法)が改正され、2024年10月1日から一般消費者が宣伝であると分からないような宣伝をすることが禁止されました。そのため、高評価を誘導するようなレビュー依頼をした場合などは、景品表示法に抵触するおそれもあるので注意しましょう。
レビューしやすい導線を構築する
レビューを増やすには、ユーザーがストレスなくレビューを投稿できる導線を構築することが大切です。
商品ページだけでなく、購入履歴から簡単にレビューができるように導線を設計すると良いでしょう。ポイントは、レビューをしようと思ってから実際にレビューを投稿し終わるまでに何回クリック(タップ)が発生するかなどのステップ数を可能な限り少なくすることです。
ECサイトの制作に関わっていないスタッフに実際に投稿直前まで試してもらうなどして、ユーザーがストレスを感じてしまう箇所がないか確認し、あれば改善をしましょう。
レビューのお願いカードを同梱する
レビューをお願いするメッセージカードを同梱することも有効なレビュー施策の1つです。
商品の梱包の中に入れるお礼状やメッセージカードに、レビューのお願いもあわせて記載しましょう。相手の名前を入れたり、メッセージを手書きにしたりするとより効果的です。
ただし、ECモールを利用している場合はメッセージカードを同梱することやメッセージカードでレビュー依頼をすることが規約違反にならないか確認してください。
例えば、楽天では「レビューの強要」が禁止されています。また、Amazonでは「特典を付与したレビュー依頼」や「肯定的なレビューの依頼」が禁止されています。
SNSで告知する
SNSでレビュー依頼をすることも有効なレビュー施策の1つです。自社のSNSアカウントでレビュー投稿キャンペーンの詳細やレビュー投稿のお願いを発信しましょう。
レビュー施策の告知をする場合は、SNSのハッシュタグを活用してユーザーに見つけてもらえるようにすることが大切です。ブランド名や商品名などはできるだけハッシュタグに入れましょう。
特に、新規顧客をターゲットにしたレビュー施策を告知する目的でインフルエンサーに依頼した場合などは、必ずハッシュタグを入れましょう。
レビュー投稿ガイドラインを作成する
レビューを増やすには、ガイドラインを作成することも有効な手段の1つです。
自由に書いて良いと言われると、何を書けば良いのかが分からなくてためらってしまうユーザーも少なくありません。そのため、どのような情報を書いてほしいのかやレビューを書くときの注意点などをまとめて、具体例を交えて伝えることでユーザーがレビューを投稿するハードルを下げる必要があります。
ただし、ガイドラインが細かすぎるとユーザーが離脱してしまうおそれがあるので注意しましょう。また、ガイドラインで高評価のレビューだけを誘導すると、ECモールの規約や景品表示法に抵触するおそれがあるので注意が必要です。
レビューへ返信する
レビューを増やすには、高評価レビュー・否定的なレビューにかかわらず、全てのレビューに返信することもポイントです。以下は例文です。
高評価レビューの場合:
「この度は当店の◯◯をご購入いただき、誠にありがとうございました。商品を気に入っていただけたとのこと、大変うれしく思います。◯◯の機能や使い心地についてもお気づきの点などありましたら、ぜひお気軽にご意見くださいませ」
低評価レビューの場合:
「この度はご期待に沿えず申し訳ございませんでした。◯◯において✕✕という点で使いづらさがあったとの意見を真摯に受け止め、今後の改善に活かしてまいります。もし差し支えなければ、詳しいご要望などをお聞かせいただけますと幸いです」
上記のようにレビューに返信することでユーザーとの関係性が構築され、リピーター化・ファン化につながります。
まずは購入してくれたことに感謝の気持ちを示した後、もらった意見に対して改善点などを伝えて、良好な関係を構築しましょう。その過程が見えることで、レビューをしていないユーザーにも好印象を与える効果にも期待できます。
低評価レビューを放置せず、真摯な対応でユーザーの不満解消に努める姿勢が大切です。
レビューを分析して活用する
レビューを書いてもらうだけでも様々な効果がありますが、レビューの内容を分析して商品の改善やサービス向上、販売戦略の見直しに活用することもポイントです。
レビューを参考にして商品やサービスの質が向上すれば、顧客の満足度の向上にもつながり、結果として自然なレビューの増加にも期待ができるからです。自然なレビューが増えればそれによって購入者が増え、レビューの数も増える好循環が生まれるでしょう。
レビュー促進ツールの活用
レビューを増やす施策として、レビューを促すツールの導入も有効な施策です。レビュー促進ツールを利用すると、自動レビュー依頼メール送信、レビュー収集、レビュー表示など、様々な機能が利用できます。
ECモールの場合
まずは、ECモールが提供しているレビュー促進ツール(レビューのリクエストを送るツールなど)を積極的に活用しましょう。より高機能なツールを利用したい場合は、各ECモールに対応した外部(サードパーティ)製のレビュー促進ツールを導入しても良いかもしれません。
自社ECサイトの場合
自社ECサイトレビュー促進ツールを導入する際は、使用しているプラットフォームに対応しているツールを選択しましょう。例えば、ShopifyでECサイトを構築している場合は「Judge.me」でレビュー依頼メール機能が利用できます。
自社のECサイトに合うツールが分からない場合は、ECマーケティング会社やECコンサルティング会社に相談すると良いでしょう。
レビューを増やす施策をする際の注意点
強制的なレビュー依頼はしない
レビュー投稿をユーザーに強制すると、マイナスイメージを持たれてしまうおそれがあります。そうなると悪いレビューが増えて、結果として売上が低下することもあるでしょう。
レビュー施策を行う際は、ユーザーが自発的にレビューするように誘導することが大切です。また、ECモールの場合は規約でレビュー投稿の強制を禁止されているケースも少なくありません。規約違反をしてしまうとペナルティを受けたりアカウントが停止されてしまったりするので注意しましょう。
虚偽レビューを依頼しない
虚偽のレビューを依頼する行為はユーザーからの信頼を失うだけでなく、法的な問題にも発展する可能性があります。
特に、AmazonなどのECモールでは厳格な規制があり、違反するとアカウント停止などの措置が取られることもあるため、注意が必要です。
レビュー依頼をする際は、虚偽のレビュー依頼をせず、自然なレビューのみ増えるような依頼の仕方をしましょう。
個人情報の保護に注意する
レビュー投稿者の個人情報は、適切に管理し、保護することが大切です。
特にECモールでは個人情報の集め方にも注意する必要があります。例えば、Amazonではレビュー依頼の際に個人情報を求めるような行為が禁止されています。レビュー依頼をする際は、必ず規約を確認して問題がない方法で依頼しましょう。
関係者がレビューを投稿する際は規約に注意する(ECモールの場合)
最初の1人目のレビューは投稿の心理的なハードルが高いので、関係者であることを明示した上でのレビューが有効になるケースがあります。
ただし、ECモールで関係者がレビューを投稿する際は規約違反にならないかを確認しなければなりません。例えば、楽天では関係者によるレビューが禁止されています。
また、ECモールでない場合でも関係者であることを隠したままレビューを投稿すると、2023年に改正された景品表示法(通称ステマ規制)に抵触するおそれがあるので注意しましょう。
例えば「ショップやメーカーの関係者(利害関係者)が一般ユーザーの振りをしてレビューを書き込む行為」や「見返りがあったにもかかわらずその事実を隠してレビューを書き込む行為」が規制されています。
まとめ:ECのレビューを増やす施策を正しく行って売上アップを目指しましょう
ECサイトのレビューは、商品の信頼性の向上、SEO効果、顧客との関係構築など、さまざまなメリットがあります。
景品表示法やECモールの規約にしたがって、適切な施策でレビューを増やし、売上アップを目指しましょう。
ただし、規約違反や顧客の負担になるような方法は避け、誠実な運用を心がけることが重要です。レビュー施策を正しく行い、ECサイトの成長につなげていきましょう。