ECサイトのコンバージョン率を改善する施策を徹底解説

この記事でわかること
  • コンバージョン率を向上させるための分析と改善方法
  • 効果的なCTAの設計とテスト事例
  • UXを向上させるための具体的な施策
ECサイトのコンバージョン率を改善する施策を徹底解説

コンバージョン率(CVR)は、ECサイトの売上や収益に与える影響が大きい指標です。コンバージョン(購入)に至った数をECサイトへのアクセス数で割り、100を掛けて算出します。

売上に直結している指標のため、コンバージョン率を高めることがそのまま収益を増やすことにつながります。

しかしながら「コンバージョン率が売上にどう影響するのか」や「どうやって改善すれば良いか」がいまいち分からないという方も多いのではないでしょうか。

本記事では、コンバージョン率の重要性や改善施策、改善施策を導入する際の注意点などを解説しますので、ぜひ参考にしてください。

コンバージョン率(CVR)の重要性と影響

ECサイトでは、コンバージョン率が変わると売上や収益にも大きな影響があります。本項目では「CVRが売上に与える直接的な影響」と「CVRと他の指標との関連性」に分けて解説します。

CVRが売上に与える直接的な影響

コンバージョン率を高めると、同じアクセス数でも販売数が増加することから、売上も増えます。

例えば、もともと1%だったコンバージョン率を2%に改善して2倍にすると、同じアクセス数でも購入者数が2倍になり、売上額もそのまま2倍になる計算です。コンバージョン率を5%から6%に改善すると、購入者数は1.2倍になるので売上も1.2倍になります。

他の指標との関連性(AOV、CTRなど)

CVRは、クリック率(CTR)や平均注文額(AOV)とも密接に関連しています。

CVRを改善すると購入者数と売上を増やせますが、その前にECサイトにアクセスしてもらわないといけません。そのため、広告やリンクが表示されたときにどれだけクリックさせたかを表すCTRを高め、アクセス数を増やすことでも売上を増やせます。

ただし、CTRを高めることにこだわりすぎてECサイトで販売している商品とミスマッチしているユーザーをアクセスさせすぎると、CVRは低下してしまう可能性があるので注意しましょう。

また、購入1件あたりの平均売上額を表すAOVを高めると同じアクセス数・購入者数でも売上が増加するため、AOVも合わせて高めていくことも大切です。

一方で、CVRを高めるために小分けをするなどの方法で単価を下げる施策をした場合は、購入1件あたりの売上額が減ることがあるため、結果としてAOVも低下してしまうかもしれません。

CVRとCTR、AOVをそれぞれ確認しながら、統合的に改善をしていくことが収益を大きく向上させるためのポイントです。

コンバージョン率改善の基本施策

コンバージョン率を改善するための基本施策は、主に以下の3つです。

  • 商品情報を充実させる
  • CTA(Call To Action)の設計と最適化
  • 簡単な購入プロセスの構築
  • スマートフォン対応のUX改善

次項から、それぞれの項目の詳細を解説していきます。

商品情報を充実させる

ECサイトでコンバージョン率を改善するための基本施策として、商品情報の充実が欠かせません。ユーザーが商品を購入する際には、商品の詳細な情報が重要な判断材料となり、不十分な情報は購入意欲を低下させ、離脱の原因にもなりかねません。

具体的には、商品の特徴や仕様を詳細に記載するとともに、高品質な画像や動画を活用して視覚的に訴求することが効果的です。たとえば、アパレル商品では、生地感やサイズ感がわかる画像や着用イメージを複数掲載することで、ユーザーが安心して購入を検討できます。

商品情報を充実させることは、顧客の信頼を獲得し、購買意欲を高めるための基本施策であり、コンバージョン率向上に直結します。

CTA(Call To Action)の設計と最適化

購入や問い合わせをする際に押してもらうCTAボタンの位置や色、コピーをユーザーの行動を促すようなものに変えるとコンバージョン率の改善効果があります。

例えば、CTAボタンの文言を「いますぐ購入」などの具体的な行動を促すものに変えたり、「期間限定」などのすぐに行動するとメリットがあることを伝えるものに変えたりすると良いでしょう。

また、CTAボタンの位置や色にもセオリーはありますが、ECサイトで販売している商品のイメージによっても効果が出やすい位置や色は変わります。そのため、複数のパターンを用意してユーザーの反応を実際に計測するA/Bテストをしながら改善していく手法も有効です。

簡単な購入プロセスの構築

購入するまでの動線を見直して、簡単な購入プロセスを構築することもコンバージョン率を改善する施策として有効です。

例えば、登録をせずに購入ができるゲスト購入のオプションを追加することで、コンバージョン率を高められるケースがあります。なぜなら、ユーザー登録を「面倒だ」と感じて離脱してしまう人も少なくないからです。

また、不要な動画や画像などを減らしてページの読み込みを早くすると、読み込み中のストレスが減るため、離脱を防いでコンバージョン率を高めることができます。

スマートフォン対応のUX改善

スマートフォンでECサイトを開いたときにストレスにならないようにUX(ユーザー体験)を改善することもコンバージョン率改善の施策の1つです。

利用しているスマートフォンの画面サイズに自動で合わせるレスポンイブデザインを採用するほか、指での操作を前提とした設計をすることがポイントです。例えば、ボタンの位置を少し離す工夫をして、違うボタンを誤って押してしまうことを防ぐなどの配慮が挙げられます。

また、購入時やユーザー登録時の入力フォームもできるだけストレス無く使えるように設計することが大切です。

コンバージョン施策の運用ポイント

コンバージョン率を高める施策は、思いついたアイデアを順に試していっても、中々成果がでません。そのため、運用例をヒントにして改善施策を立案することがポイントです。

本項目では、成功したコンバージョン率の改善施策の例を簡単に紹介します。

  • 商品ページ改善
  • ユーザーレビューや評価の活用
  • テストを活用した施策最適化(A/Bテストなど)

次項から、各項目の詳細を解説します。

商品ページ改善

ECサイトのコンバージョン率を高めるには、まず商品ページを改善することがポイントです。

例えば、写真や文章だけでは商品の詳細や魅力が伝わりにくい商品に対し、高画質で細部まで見える写真を追加したり、説明動画を追加してCVRを改善することが重要です。動画を追加する際は、説明をするだけでなく実際に利用しているところを撮影するとより効果的です。

また、ユーザーの行動を促すために「在庫わずか」「送料無料」などの文言を目立つ場所に配置することでもCVRの改善に期待ができます。

ユーザーレビューや評価の活用

商品のレビュー数や評価点などを商品ページに表示することで、信頼性を向上させてコンバージョン率を高める効果があります。

すでに購入したユーザーのレビューや評価を見られるようにすることで、ユーザーの不安感を減らす効果があります。また、レビュー数が多ければ「多くの人が利用しているから自分も欲しい」となる心理効果のバンドワゴン効果にも期待ができるでしょう。

テストを活用した施策最適化(A/Bテストなど)

CVRを効率よく高めるためには、テストを活用してECサイトに合う施策を行うことがポイントです。ボタンやテキストなどに複数のパターンを用意しておき、実際にユーザーに表示させて反応を計測するA/Bテストが特に有効です。

ターゲットとなるユーザー層を細かく絞って、それぞれに合わせた商品説明のテキストやボタン配置、色などを設計し、反応が良かった施策を採用しましょう。また、トレンドの変化によって施策の効果が薄れるケースもあるので、継続的にテストを続けていくことも大切です。

コンバージョン率を高める心理学的アプローチ

ECサイトでコンバージョン率を高めるためには、心理学的なテクニックを活用してアプローチすることも大切です。本項目では、心理学的アプローチを3つ紹介します。

  • 希少性や限定性を活用したプロモーション
  • ソーシャルプルーフ(社会的証明)の効果的な使い方
  • ユーザーの不安を払拭するコンテンツの工夫

次項から、各項目の詳細を解説していきます。

希少性や限定性を活用したプロモーション

希少性や限定性をアピールしてユーザーに行動を促すと、コンバージョン率を高められます。

例えば「期間限定」や「在庫わずか」などの文言で希少性を強調すると、ユーザーに対して「早めに購入しないといけない」と思わせる効果に期待できます。その結果として、購入意欲も高まり、CVRの改善にもつながるでしょう。

ソーシャルプルーフ(社会的証明)の効果的な使い方

人間には、自分の行動が妥当かどうかを他人の行動や意見によって判断するソーシャルプルーフと呼ばれる心理効果があります。そのため、レビューの数や評価、購入した人の数やランキングの結果など、社会的に評価されているかどうかを気にします。

その心理効果を利用して「◯◯ランキングで1位」と表記したり「◯◯人がこの商品を見ています」と通知を出したりすると良いでしょう。その結果として、ユーザーは購入することに妥当性を感じて購買意欲が高まります。

ユーザーの不安を払拭するコンテンツの工夫

ECサイトでは、ユーザーの不安を解消するようにコンテンツを工夫することも大切です。販売者の顔が見えないECサイトでは、購入する際に不安感を覚えてしまうユーザーも少なくありません。

返金保証や支払い方法の安全性などを、ユーザーにとって分かりやすく明示して、購入時の心理的な障壁をできる限り減らしましょう。また、よくある質問をまとめたFAQやリアルタイムに質問に対応できるチャットサポートなどを設置すると、より効率よくユーザーの不安を解消でき、購買につなげやすくなります。

業界別に見るコンバージョン率の違いと対応策

ECサイトは、業界によっても特徴があり、コンバージョン率にも違いがあります。

本項目では、アパレルEC、家電EC、サブスクリプションでのECを例に解説しますので参考にしてください。

アパレルECでのCVR向上施策

アパレル業界のECサイトでは、商品の画像や映像、図などがコンバージョン率に影響しやすいという特徴があります。そのため、サイズガイドの記載や、パソコン・スマートフォンの画面上で自分の写真や映像と商品を合わせて試着できるバーチャル試着機能が効果的です。

また、従来の商品写真にも細部が確認できるように角度を変えた写真を追加したり、バリエーションを増やしたり、スタイリング例を掲載する施策も有効です。商品写真を見たときに実際に着て生活をしている姿がイメージできるように写真を載せると良いでしょう。

家電ECでの比較検討を促す手法

家電ECでは、他の業界に比べて低いCVRになりやすいという特徴があります。これは家電を買う際に比較検討をしているユーザーが多いからと考えられます。その対策として、製品スペックの比較機能や詳細な商品説明などを追加して比較検討をしやすくし、そのまま購入につなげるようにしましょう。

また、大手の家電量販店のECサイトから購入する人が多いことも特徴の1つです。これは、家電を買う際に「安心感」を求めているユーザーも多いからと考えられます。そのため、購入後のサポートや保証内容をユーザーにも伝わりやすいように記載して安心感を与えると良いでしょう。

サブスクリプションモデルのサイトでのCVR最適化

サブスクリプション型のECサイトでは、トライアル期間を提供したり、解約手続きが分かりやすいことをアピールしたりすると、CVRを改善できます。なぜなら、サービス内容が説明だけでは分からなかったり、解約したいときに解約できるかが分からなかったりすると不安になってしまい、ECサイトから離脱してしまうからです。

また、サービスの内容だけでなく、サービスの価値やメリット、どのようなベネフィット(恩恵)が得られるかをユーザーに伝えるコンテンツを置くことも大切です。

コンバージョン施策を導入する際の注意点

コンバージョン率を高めるための施策を導入する際は、以下の3つの点に注意しましょう。

  • 過剰なプロモーションのリスク
  • ユーザー視点を考慮したデザイン設計
  • 継続的な改善のためのデータ収集と分析

次項から各項目の詳細を解説していきます。

過剰なプロモーションのリスク

コンバージョン率の改善だけを考えて過度な割引やキャンペーンを行ってしまうと、ブランドイメージを損なうリスクがあることに注意しましょう。

また、極端な安売りをしたという事実があると「そのうちまた安売りするだろう」と思われてしまい、購買を見合わせてしまう人も居ます。

コンバージョン率を高めるための施策をする際は、ブランドイメージを損なわないか、利益率の低下は許容範囲内かなどを考慮して、適切な施策を選ぶことが大切です。

ユーザー視点を考慮したデザイン設計

コンバージョン施策をする際は、ユーザーの視点から見て利用しやすいように工夫しなければいけません。

必要のない機能を追加して複雑にしてしまったり、直感的に操作しにくいボタン配置にしてしまったりすると、ユーザーはストレスを感じて離脱してしまいます。「ECサイトを初めて使う人でも迷わずに購入まで操作できるか」を意識して、デザイン設計をしましょう。

継続的な改善のためのデータ収集と分析

コンバージョン率を高める施策を導入した際は、継続的に改善を続けていくことも大切です。

有効なコンバージョン率の改善施策は、日々変化し続けます。そのため、常にユーザーの行動データを収集し、データに基づいて改善を続けていかなければなりません。

効果のあった施策となかった施策を見極めて分析し、仮説をもとに新たな施策を計画し、改善を繰り返していくと、コンバージョン率をより高めることができるでしょう。

まとめ:ECサイトでのコンバージョン改善施策の実践ポイント

ECサイトでは、コンバージョン率を高めると売上や収益を増やすことにつながります。

コンバージョン率の改善は、以下の3つの基本施策から始めると良いでしょう。

  • CTA(Call To Action)の設計と最適化
  • 簡単な購入プロセスの構築
  • スマートフォン対応のUX改善

改善施策をする際は、心理学的なアプローチをしたり、成功事例を参考にして施策を立案したりすることがポイントです。

ただし、効果的な施策は業界やトレンドの変化によっても変わります。そのため、継続的にテストや計測をして効果を測定しつつ改善を繰り返して、より効果のあるCコンバージョン率の改善施策をしていきましょう。