- カゴ落ちの主な原因とその分析方法
- カート放棄を防ぐための実践的な施策(リマインド機能、クーポン活用など)
- カゴ落ちを減らす成功事例と実行しやすい対策

商品をカートに入れたにもかかわらず購入せずに離脱してしまうカゴ落ちは、ECサイトやECショップの売上を減らす大きな要因の1つです。独自調査の結果によると、95%以上の利用者がカゴ落ちを経験しています。
しかしながら、カゴ落ち対策が重要と気付いてはいるものの具体的な対策が分からなくて悩んでいるECサイト担当者も多いのではないでしょうか?
本記事では、カゴ落ちの原因や対策、対策ツールと対策時の注意点を解説します。独自の調査データも踏まえて紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
目次
カゴ落ちの原因と現状
オンラインショッピングにおける「カゴ落ち」は、多くのECサイト運営者が直面する課題です。その発生にはさまざまな要因が絡んでおり、これらを正しく理解し対策を講じることで、コンバージョン率の向上や売上アップにつながります。本章では、具体的なカゴ落ちの原因とユーザー心理について詳しく解説します。
送料や手数料などの追加費用がかかった
独自の調査結果によると、カゴ落ちの原因で1番多かったのは「送料や手数料などの追加費用がかかった」です。
- 「思っていたより高かったので購入を見送ろう」
- 「合計金額でもっと安いショップはないか探してみよう」
- 「最初に表示されていた安い金額でだまされた気がする」
最初に見た金額に加えて送料や手数料が追加でかかってしまうと、ユーザーはこのような心境で購入をためらってしまう傾向があります。
また、予算内で商品を探していた場合で、送料や手数料を含めると予算を超えてしまうケースもあります。
他のオンラインショップの方が安いことに気づいた
次に多いカゴ落ちの原因は「他のオンラインショップの方が安いことに気づいた」です。
商品をカートに入れた後、他のショップを見て比較しているユーザーも少なくありません。より安いショップを発見したユーザーは、以下のような心境になってしまうでしょう。
- 「より安いショップから買いたい」
- 「同じ商品なのに値段が高いショップはあまり信用できない」
他にほしい商品が見つかった
「他にほしい商品が見つかった」という理由も、カゴ落ちが発生する原因の1つです。調査結果では35%程度のユーザーが、商品をカートに入れてから購入までのあいだに他の商品を選んだ経験があると回答しています。
そのため、以下のような心境で購入が後回しになりがちです。
- 「とりあえずキープしておいて他の商品と比較したい」
- 「おすすめ商品(レコメンド)も気になったので見てから購入しよう」
- 「より高機能なものはないか確認してから購入したい」
これらの理由から他の商品を確認しているうちに離脱してしまい、カゴ落ちにつながります。
商品が必要なくなった
「商品がでは必要なくなった」という理由も、カゴ落ちが発生する原因です。例えば、以下のような理由が挙げられます。
- 「良い商品だと思いカートに入れたが、検討した結果必要ではなくなった」
- 「カートに入れてから購入までの間に別のところで他の商品を購入してしまった」
これらの理由から、商品を見つけてカートに入れ決済をする間に興味を失ってしまったり、必要でなくなったりして、カゴ落ちにつながります。
レビューや口コミにネガティブな意見があった
レビューや口コミにネガティブな意見があった場合も、カゴ落ちが発生する原因になります。ネガティブな口コミを見たユーザーは、以下のような心境になってしまうかもしれません。
- 「このショップで購入して大丈夫なのだろうか」
- 「口コミで書かれていた内容は本当か調べてから購入しよう」
その結果としてすぐに購入手続きがされずカゴ落ちにつながってしまいます。
希望する決済手段がなかった
欲しい商品を見つけてカートに入れた後でも、決済する際に自分が利用したい決済方法が使えないとユーザを以下のような心境にしてしまうことがあります。
- 「普段使わない方法を使うのは面倒」
- 「いつも使っている決済方法でポイントをためたい」
- 「支出を管理するために決済方法は1つに統一しておきたい」
これらの理由から、購入をあきらめてしまうケースも少なくないでしょう。
会員登録やアカウント作成が必要だった
購入前に会員登録やアカウントの作成が必須だった場合も、カゴ落ちの原因になりえます。会員登録を強制されたユーザーは、以下のように感じてしまうでしょう。
- 「会員登録の作業が面倒」
- 「登録が必須なら、すでに登録してあるショップで購入したい」
- 「自分の個人情報をあまり多くのECサイトに登録したくない」
これらの理由から、離脱してしまうケースも少なくありません。
配送に時間がかかった
配送に時間がかかりすぎると、ユーザーは以下のような心境になってしまい離脱してしまいます。
- 「もっと早いショップがないか探してみよう」
- 「商品が必要なタイミングに間に合わないから買う必要がない」
これらの理由から購入手続きに進まずに他のショップを見に行ってしまったり、購入をやめてしまったりして、カゴ落ちが発生します。
購入手続きを進めないと合計金額が分からなかった
購入手続きに移るまでに合計金額が表示されていない場合も、カゴ落ちが発生しがちです。購入画面に遷移してから合計金額が表示されると、以下のような印象を与えてしまいます。
- 「合計金額が思っていた金額と違ったので不安になった」
- 「商品ページの安い表示価格でだまされたと感じた」
上記のような印象から不安を感じてしまい、購入をためらってしまうケースも少なくないでしょう。
購入手続き画面でエラーが出た
購入手続き中にエラーが発生すると、ユーザーは以下のような印象をもってしまいます。
- 「せっかく入力した内容をまた入力し直す手間が面倒」
- 「購入手続き中にエラーが出ると支払の処理も正しく行われるかが不安」
また、時間を置いてから手続きをしようと考えて離脱したまま、忘れてしまうこともあるかもしれません。これらの理由から購入手続きの続行をためらってしまい、カゴ落ちが発生します。
その他
その他にもさまざまな要因でカゴ落ちが発生します。
例えば、ECサイトの見た目が整っていないとユーザーに不安感を与えてしまい、購入をためらわせることになるかもしれません。また、カートに入れてから決済までの手順が複雑で、画面遷移の回数が多い場合もユーザーが離脱する要因になります。そのため、ユーザーに不信感を与えないようなECサイトを作ることが大切です。
カゴ落ちを減らすための対策9選
次に、カゴ落ちを減らす対策を9つ紹介します。
- 送料を無料にする
- 割引やポイントを還元する
- 商品をプレゼントする
- 限定性や希少性をアプローチする
- 延長保証やメンテナンスを提案する
- リマインドメールや通知を設定する
- カート内での支払い方法選択を充実させる
- 商品情報を充実させる
- 価格比較のための工夫をする
それぞれについて、詳しく見ていきましょう。
送料を無料にする
カゴ落ちを減らす対策の1つめは、送料を無料にすることです。
独自調査の結果、カゴ落ちしたユーザーのうち60%が「提案されれば購入を検討する理由」に「送料無料」を選んでいます。送料無料のキャンペーンを実施すると購買意欲が高まるので、カゴ落ちの発生を減らせるでしょう。
割引やポイントを還元する
カゴ落ちを減らす対策の2つめは、ポイント還元や割引を行うことです。
独自調査の結果、商品購入を途中でやめたユーザーのうち55%程度が商品の割引やポイント還元が提案されれば購入を検討すると回答しています。したがって、割引やポイントの付与など購入をするインセンティブを与えると良いでしょう。また、割引やポイント付与を期間限定のキャンペーンにすると購買意欲をより促進できます。
商品をプレゼントする
購入特典としてギフトやサンプルを提供して購入意欲を引き出すことも、カゴ落ちを減らすための有効な対策の1つです。全てのユーザーに無条件でプレゼントをしてしまうと大きなコストがかかってしまうので、規定以上の金額で購入した人や初回の購入の場合のみプレゼントをするなどの方法が有効です。
限定性や希少性をアプローチする
限定販売商品や期間限定販売の商品を扱っている場合は、その限定性や希少性をアピールしてユーザーの購買意欲を高めるとカゴ落ちを減らせます。残りの在庫数を表示して、在庫切れになる前に注文をするように促すなどの施策も有効です。
延長保証やメンテナンスを提案する
カート内で延長保証やアフターメンテナンスのオプションを提示すると、ユーザーに安心感を与えられるため購入手続きに進みやすくなります。延長保証やメンテナンスのオプションを提示する際は、不信感を与えないために可能な限り分かりやすく表示することがポイントです。
リマインドメールや通知を設定する
商品をカートに入れたまま忘れてしまうユーザーに向けて、カート内に商品があることを思い出して再訪してもらうリマインドメールやプッシュ通知を設定すると、カゴ落ちを減らせます。
独自調査の結果によると、カートに商品を入れたまま離脱したユーザーに送信するカゴ落ちメールを知っているユーザーのうち、41%がカゴ落ちメールをきっかけに購入をした経験があると回答しています。
カート内での支払い方法選択を充実させる
対応する支払い方法を可能な限り充実させることも、カゴ落ちを減らす対策の1つです。ユーザーは、ポイントをためていたり支出を管理していたりするなどの理由で特定の支払い方法にこだわることがあります。ユーザーが選べる支払い方法を増やすことで、支払い方法への不満による離脱を減らせるでしょう。
商品情報を充実させる
商品の情報を充実させると、ユーザーに安心感を与えることができるため購入してもらいやすくなり、カゴ落ちを減らせます。
商品の写真やサイズ、性能を文字で記載するだけでなく、実際に使っている写真を追加したり、実際に使用したユーザーのレビューを載せたりするとより効果的です。
価格比較のための工夫をする
他社との比較情報を提供することでも、カゴ落ちを減らせます。なぜなら、多くのユーザーは商品をカートに入れたあともより安いショップがないか検索行動を続けてしまうからです。自分から比較するための情報をユーザーに与えることで、離脱して他社のECサイトに行ってしまうケースを減らせます。
カゴ落ち対策を強化するためのツール
カゴ落ちを減らすためにはさまざまなツールがあります。主な対策ツールは、以下の5種類に分類できます。
- カートリカバリツール
- リターゲティング広告ツール
- チャットボットとカスタマーサポートツール
- パーソナライズドメールツール
- ABテストツール
それぞれについて、詳しく見ていきましょう。
カートリカバリツール
カートリカバリツールは、カゴ落ちが発生したユーザーに対してメールや通知を配信して再訪を促すツールです。
また、カゴ落ちが発生しそうな行動をしたときにポップアップで通知する機能や、カゴ落ちが発生した際のユーザーの行動データを収集・分析する機能が搭載されたものもあります。
リターゲティング広告ツール
リターゲティング広告ツールは、自社のWebサイトを訪問したことのあるユーザーに再訪を促すリターゲティング広告を配信するツールです。ECサイトやオンラインショップの運営でも、カゴ落ちをしたユーザーを再訪させるツールとして有効です。
チャットボットとカスタマーサポートツール
チャットボット(対話形式で自動回答するツール)やカスタマーサポートツールは、何らかの疑問を持っているユーザーに対し解決策を提示して購入を促すことでカゴ落ちを防ぐツールです。
近年では最初にAIを搭載したチャットボットで対応し、AIで対応できない場合のみスタッフにつなぐ方式もよく採用されています。
パーソナライズドメールツール
パーソナライズドメールツールは、各ユーザーの属性に合わせてカスタマイズしたメールを送信し、カート内の商品の購入を促してカゴ落ちを減らすツールです。
ユーザーの情報を収集・分析する機能があるものや、マーケティングツールと連携する機能を搭載したものもあります。
ABテストツール
ABテストツールは、カートのページやデザイン、購入プロセスなどを2パターン以上作成した状態で訪問したユーザーにランダムに表示し、反応を確認するツールです。
複数の改善施策を実際にユーザーに利用してもらって反応を収集することで、より効果的なデザインや設計がどちらかがわかるため、カゴ落ちが発生しにくい施策を判別できます。
カゴ落ち対策の導入時に注意すべきポイント
カゴ落ちの対策をする際に注意すべきポイントは、主に以下の6つです。
- ターゲットユーザーの特性を理解する
- 過度なリマインドを避ける
- ユーザーにとって自然な導入を心がける
- 顧客データのプライバシーに配慮する
- 複数チャネルでのリマインド施策を組み合わせる
- 適切なクーポンやインセンティブを設定する
それぞれについて、詳しく見ていきましょう。
ターゲットユーザーの特性を理解する
カゴ落ち対策にリマインドをする場合は、ターゲットユーザーの特性を理解することがポイントです。
独自調査の結果によると「約半数のユーザーがカートに入れてから1時間以内に購入を済ませる」という結果が出ています。ユーザーの行動を理解せずにリマインドの頻度を高くしすぎるとユーザーに不快感を与えてしまいがちです。ユーザーの特性に合わせてリマインドや通知を送る頻度を設計しましょう。
過度なリマインドを避ける
ユーザーが離脱したまま忘れてしまう状況を防ぐリマインド施策をする際は、過度なリマインドをしないことも重要なポイントです。頻度が高すぎるとユーザーに不信感を与えてしまうおそれがあるので注意しましょう。
ユーザーにとって自然な導入を心がける
カゴ落ち対策ツールを利用してリカバリ施策やリマインド施策をする際は、ユーザーにとって自然な導入になるような設計を心がけることがポイントです。
不自然な導入で売り込みをしてしまうとユーザーに不信感を与える原因となってしまうので注意が必要です。ユーザーにとって有益な情報を冒頭で提供してから、カートへの誘導につなげると良いでしょう。
顧客データのプライバシーに配慮する
顧客データやプライバシーなど、個人情報の取り扱いに配慮することも大切なポイントです。個人情報の取り扱いに不信感を抱いてしまうと、ユーザーの離脱を招いてしまいます。
ただし、実際に配慮をしていてもユーザーに伝わらなければ意味がありません。プライバリーポリシー(個人情報保護方針)ページを分かりやすく書くなど、個人情報に配慮していることがユーザーに伝わるように工夫しましょう。
複数チャネルでのリマインド施策を組み合わせる
カゴ落ち対策ツールを使う際は、複数のチャネルを組み合わせてアプローチすることもポイントです。
独自調査の結果によると「購入するかどうかを検討するため」「他の商品と比較するため」という理由で、多くのユーザーが商品をカートに入れてから購入までに時間をあけています。そのため、一旦離脱をしている間にメールやプッシュ通知、リターゲティング広告などを駆使し、各ユーザーに適したチャネルで再訪を促すことが重要です。
適切なクーポンやインセンティブを設定する
カゴ落ち対策ツールを導入してクーポンや特典を与える際は、ユーザーにとって魅力的になるようなインセンティブを提供することが大切です。
例えば、1つだけ購入すればユーザーが満足する商品に対して「3個購入すると500円引き」のようなクーポンはあまり効果がありません。
まとめ:カゴ落ち対策で売上ロスを最小限に
ECサイトやオンラインショップの運営では、カゴ落ち対策をして売上ロスを最小限に抑えることが大切です。
独自調査の結果によると、ECで少なくとも1回以上不満を感じたことのあるユーザーは全体の8割弱を占めており、その内の7割のユーザーが「そのショップで商品をまた購入したいと思わない」と回答しています。そのため、長期的な視点で見ると実際にカゴ落ちが発生している金額以上に大きなロスしているといえます。
本記事で紹介したカゴ落ちの原因や対策を参考にカゴ落ちが発生しにくいECサイトを作り、売上のロスを最小限に押さえて売上の向上を目指しましょう。