Amazonの広告運用とは|仕組みや成功のポイントを解説

この記事でわかること
  • Amazonの広告運用の基礎知識
  • Amazonの広告運用の始め方
  • 広告運用の失敗例とその対策
Amazonの広告運用とは|仕組みや成功のポイントを解説

Amazon広告は、Amazon上で商品を宣伝し、購買意欲の高いユーザーに直接アプローチできる広告システムです。Google広告やSNS広告とは異なり、既に商品を探しているユーザーに広告を表示できるため、売上につながりやすいという特徴があります。

Amazon広告を正しく運用することで、低予算でもターゲットに適した広告配信が可能となり、結果として売上の向上に期待できます。

本記事では、Amazon広告の基本的な仕組みや種類、運用のポイント、よくある失敗を解説しますので、ぜひ参考にしてください。

Amazonの広告運用の基礎知識

初めにAmazon広告の運用を始める際に必要な基礎知識を、以下の3つの項目に分けて解説します。

  • Amazon広告とは
  • 他の広告との違い
  • Amazon広告を活用するメリット

Amazon広告とは

Amazon広告とは、Amazon内で商品を宣伝して多くのユーザにアプローチし、売上増加を促進するための広告システムです。

商品の露出を高めることを目的としたスポンサープロダクト広告や、ブランドの認知度向上を目的としたスポンサーブランド広告、Amazonの関連サービスに広告を表示するAmazon DSPなどがあります。

他の広告との違い

Amazon広告と他の広告との大きな違いは、Amazon内の検索結果やAmazon関連サービスに広告を出せることから、ユーザーの購買意欲が高いことです。

Google広告ではWeb全体、SNS広告ではSNSの中に出すことになります。よって、Google広告やSNS広告を見て商品ページへ遷移したユーザーの中には、商品について知りたいだけのユーザーも含まれています。そのため、購買意欲が高くないユーザーも少なくありません。

Amazon広告の場合は、商品を購入しようとAmazonにアクセスしているユーザーに対して広告を出すので、購買意欲の高いユーザーにアプローチが可能です。そのため、Google広告やSNS広告に比べて売上につながりやすい傾向があります。

顧客の購入プロセスを示すAIDMAやAISASに照らし合わせると、行動の段階に入っているユーザーに広告を表示させるイメージで考えると分かりやすいかもしれません。AIDMAは、注意(Attention)、興味(Interest)、欲求(Desire)、記憶(Memory)、行動(Action)という購買プロセスを示す理論です。AISASはAIDMAより新しい理論で、注意(Attention)、興味( Interest)、調査(Search)、行動( Action)、共有(Share)という購買プロセスを示す理論です。

Amazon広告を活用するメリット

Amazon広告を活用すると購買意欲の高いユーザーにアプローチできることが大きなメリットです。なぜなら、Amazonにアクセスしていて既に購入を検討しているユーザーに対して広告を出せるからです。

また、低予算でも広告を出稿できることもメリットの1つといえます。Amazonでは広告が表示された数ではなく、クリックされた数に対して課金されるCPC広告が利用できます。さらに、広告の入札に使う単価とトータルの予算の設定も可能です。そのため、予算が少なくても予算内で収まるように広告を出稿できます。

さらに、スポンサーブランド広告では動画で広告できるため、文章やテキストでは伝えにくい情報を伝えられます。うまく活用すれば、競合のブランドや商品との差別化もできるでしょう。

Amazon広告の種類と特徴

広告タイプ 特徴・仕組み 主な掲載場所
スポンサープロダクト広告 特定の商品を指定し、検索結果や商品詳細ページに広告を表示できる 検索結果ページ、商品詳細ページ
スポンサーブランド広告 ブランドロゴや複数の商品を組み合わせて広告できる 検索結果ページ(上部・中央)、商品詳細ページ
スポンサーディスプレイ広告 購買行動をもとにターゲティングし、Amazon外にも配信できる 商品詳細ページ、TwitchなどのAmazon関連サービス
Amazon DSP Amazonや関連サービスの広告枠にAIが自動入札し、最適な広告を表示できる Amazon、Prime Video、Amazon Freevee、TwitchなどのAmazon関連サービス内

スポンサープロダクト広告

スポンサープロダクト広告は、広告を出す商品を指定して、Amazon内で商品を検索した際の検索結果ページや商品詳細ページに広告を表示させる仕組みです。クリック課金制のため、広告をクリックされた場合に広告料が発生します。

特定のキーワードを指定したり、関連性の高い検索キーワードで検索されたときに表示させたりできます。そのため、ターゲットを絞って特定の商品をアプローチしたい場合に効果的です。

購買意欲の高いユーザーが使用する検索キーワードを分析してうまく出稿できれば、費用対効果の高い広告運用を目指せることも特徴といえます。

スポンサーブランド広告

スポンサーブランド広告は、検索結果のページの上部や中央、商品詳細ページに表示させる広告です。

特定の商品を広告するだけでなく、ブランドロゴやブランドイメージ画像、複数の商品画像を組み合わせてブランド全体を広告できることが特徴です。そのため、自社ブランドの認知度を上げたい場合や、既に自社ブランドの商品を購入しているユーザーに他の商品も知ってもらいたい場合に効果的です。

また、スポンサーブランド広告では動画も載せられます。ブランドや商品のイメージを広告枠の中で伝えられるので、文章や画像だけでは魅力を伝えにくい商品の宣伝にも向いています。

ただし、スポンサーブランド広告を利用するにはAmazonへのブランド登録が必須です。また、特許庁への商標登録が済んでいないとブランド登録をできないので注意しましょう。

商標登録は、一般的に3ヶ月~1年ほどかかります。スポンサーブランド広告の利用を考えている方でまだ商標登録を済ませていない場合は、早めに特許庁へ出願しましょう。

スポンサーディスプレイ広告

スポンサーディスプレイ広告は、Amazonでの購買行動を参考にして広告が有効と想定されるユーザーにターゲットを絞って表示させる広告です。掲載枠は自動的に選ばれます。

商品詳細ページにも表示ができるため、購買意欲の高いユーザーに対してアプローチしたい場合にも有効です。

また、Amazonの子会社が運営するライブストリーミングサービスのTwitchなどAmazon関連サービスにも広告が表示されます。そのため、Amazonで似ている商品を見たユーザーに対して、Amazon外のWebサイト・サービスの広告枠に自社商品の広告を表示させるリマーケティング戦略にも利用可能です。

Amazon DSP

Amazon DSPは、AmazonだけでなくAmazonが直接運営するPrime VideoやAmazon Freeveeや子会社が運営するTwitchなどに表示させる広告です。

広告枠の入札を自動化するDSP広告で、Amazonが独自に持っているデータをもとにしてAIが関連性の高い広告を表示させてくれます。

Amazonが保有しているユーザーのデータを活用してターゲティングしつつ、Amazonに関連したWebサイトやサービスに広告を出稿したい場合に利用すると効果的です。

代理店を通すと月数十万円からの予算感でも始められますが、運用手数料がかかります。自社で直接契約することもできますが、その場合は数百万円以上が費用の目安です。

Amazon広告の仕組みと費用

Amazon広告の仕組みと費用を、以下の項目に分けて解説します。

  • 広告の課金方式(CPC・CPM)
  • 入札戦略と予算設定の基本
  • 広告費用の目安とROIやROASの考え方

広告の課金方式(CPC・CPM)

CPC広告は、広告をクリックされる度に広告費が発生する広告出稿形式です。CPCはCost Per Clickの略で、クリック課金とも呼ばれます。

広告がクリックされた場合にのみ課金されることから広告費にロスが発生しにくい一方で、広告単価は後述するCPM広告より高くなりがちな傾向があります。そのため、購買につながりやすい商品や利益率の高い商品に絞って出稿すると効果的です。

CPM広告は、広告が1,000回表示される度に広告費が発生する広告出稿形式です。CPMはCost Per Milleの略で、インプレッション課金とも呼ばれます。

ブランドの認知度向上を目的とした場合など、より多くのユーザーに見てもらいたい場合に有効な広告出稿形式です。

入札戦略と予算設定の基本

Amazonの広告は、特定のキーワードの検索結果や関連する商品ページなどに設置された広告枠に入札して、入札額が高かった会社の広告を表示させる仕組みです。

キーワードやターゲティング設定、入札単価は、事前に手動で設定する方法と自動で調整してもらう方法があります。入札単価が高いほど広告が表示されやすくなりますが、CPC広告でクリックが集中すると想定以上に広告費がかかってしまうことがあるので注意しましょう。

Amazonでは入札戦略がいくつかあり、指定した入札単価でそのまま入札に参加する方法や関連性に合わせて入札額を自動で増減する入札戦略などから選べます。

基本的にはCPC課金制ですが、スポンサーブランド広告、スポンサーディスプレイ広告では表示された回数によって課金されるCPM広告も利用可能です。

CPC広告の予算を設定する際は、広告キャンペーンごとに1日の予算を設定する必要があります。予算は、目標のクリック数にクリックごとの単価をかけて算出すると良いでしょう。

広告費用の目安とROIやROASの考え方

Amazon広告を始めたばかりの企業が利用できるスポンサープロダクト広告・スポンサーブランド広告(CPC広告)の場合は、1クリックあたり10円程度が相場です。ただし、競争率の高いターゲティングキーワードや広告枠の場合は100円を超えることもあるので注意しましょう。Amazonが自動的に推奨価格を出してくれますので、初めは推奨価格を参考にすると良いでしょう。

広告費の予算を考える際は、何回クリックされれば何個売れて売上がいくらになるかを計算し、そこから広告費を逆算することがポイントです。ECであれば、広告費は売上の10%~30%程度に収まるのが相場です。

広告の効果を客観的に判断するには、ROIやROASを計算すると良いでしょう。広告費に対する利益率を示すROIは、利益を広告費で割って100を掛けて算出します。ROIがプラスなら広告が利益を出していて、マイナスなら広告が利益を出していないことになります。

広告費1円あたりの売上を示すROASは、広告を経由した売上を広告費で割って100を掛けて算出します。この数値が100%を超えていれば、増えた売上が広告費を上回っていると判断できます。

この2つの指標をもとにして、広告費が利益を上回らないように予算を設定しましょう。ただし、ブランドの認知度向上を目指す場合など、赤字覚悟で広告費を投入する場合は除外しても良いかもしれません。

Amazon広告運用の始め方

Amazon広告の始め方を、スポンサープロダクト広告を例に解説しますので、参考にしてください。

ステップ1:広告キャンペーンの設定

初めに、広告キャンペーンを作成します。最初に設定するのは主に以下の項目です。

  • キャンペーン名:キャンペーンを識別するための名前
  • 開始日と終了日:キャンペーンの期間
  • 日次予算:1日あたりの広告予算

ステップ2:ターゲティングの選択(オート・マニュアル)

広告を出すためのキーワードを自分で設定したい場合はマニュアルターゲティング、自動で適切な広告枠に表示させたい場合はオートターゲティングを選びましょう。

初めはオートターゲティングで広告を運用して、慣れてきたら手動でキーワードを追加していく方法もおすすめです。

ステップ3:広告予算と入札額の決定

「キャンペーンの入札戦略」の欄で、入札額を設定します。

できるだけ安く表示したい場合は「動的な入札額ダウンのみ」にしておくと良いでしょう。広告単価が多少高くなっても良い場合は「動的な入札額アップとダウン」を選びます。手動で設定した入札額を自動で調整したくない場合は「固定入札額」を選びましょう。

ステップ4:広告に掲載する商品の設定

キャンペーンの設定が終わったら、広告グループを作成して、広告に掲載する商品を設定します。

掲載する商品を選択したら、入札額の初期値を設定します。

オートターゲティングの場合は、入力欄の下にAmazonが推奨する入札額が表示されているので、参考にすると良いでしょう。

マニュアルターゲティングの場合は、追加で以下の項目も入力します。

  • 入札額
  • ターゲット(キーワードでターゲティングするか商品でターゲティングするか)
  • キーワード
  • マッチタイプ(キーワードが完全一致かフレーズ一致か部分一致か)

商品ターゲティングの項目で設定する商品は、自社商品の広告を表示させたい商品を選ぶ項目です。自社商品を選ぶと自社の商品ページに広告が出てしまうので注意しましょう。

ステップ5:広告クリエイティブの最適化

出稿した後もデータを見ながら改善することが広告運用では大切です。

キーワードが適切か、入札単価は問題ないか、広告戦略が商品に合っているかどうかをAmazonの広告レポートを参考に判断し、問題があれば改善しましょう。

Amazon広告運用を成功させるポイント

Amazonの広告運用を成功させるポイントは、主に以下の4つです。

  • 効果的なキーワードを選定する
  • 広告文と商品ページの最適化
  • 広告の費用対効果を管理する
  • 広告レポートの活用と改善を繰り返す

効果的なキーワードを選定する

Amazon広告を効率よく運用するには、効果的なキーワードを見つけることがポイントです。主に以下の要素を意識して選定すると良いでしょう。

  • 商品とキーワードの関連性の高さ(関連性が高いほど購入につながりやすいため)
  • 検索ボリュームの多さ(検索ボリュームが多ければ露出も増えるため)
  • 競合の多さ(競合が多いと入札単価が高くなるため)

また、検索ボリュームはそれほど多くないが一定数の需要があるキーワード(ロングテールキーワード)をあえて狙う戦略も有効です。

広告文と商品ページの最適化

広告文が入力できる種類の広告の場合は、ユーザーの目を引き、自然にクリックを促すようなデザインになっているかを確認しましょう。

また、Amazon広告で集客をしても、商品ページに遷移した人が購入まで至らないと、広告費が無駄になってしまいます。そのため、商品ページの最適化をすることも大切です。

商品ページは、商品の魅力がひと目で伝わるように、高品質な画像や箇条書きを活用することがポイントです。

そのほか、商品名や検索キーワード、レビュー数、評価など、様々な要素が広告の表示順に関わってきますので、データを見ながら中長期的な視点を持って修正・改善をしましょう。

広告の費用対効果を管理する

広告を運用する際は、広告費の費用対効果を適切に管理することもポイントの1つです。

費用対効果を管理する際は、前の項目で解説したROIやROASのほか、ACOSを参考にすると良いでしょう。

ACOSは、広告費を広告経由の売上で割ったものに100を掛けて算出します。このACOSが、商品の粗利率より高ければ赤字、粗利率より低ければ黒字と判断できます。

例えば、粗利率20%の商品に対して広告費を10,000円かけて100,000円分売れていれば、ACOSは10%になるので広告による売上が黒字と判断できます。

広告レポートの活用と改善を繰り返す

Amazon広告は、広告を運用しながらデータを取り、そのデータやトレンドに合わせて柔軟に修正や改善を繰り返すことが大切です。

広告レポートのクリック数やクリック率(CTR)、入札にかかった単価を確認して、売れているキーワードや利益率の高いキーワード、赤字になっているキーワードなどを見つけて改善しましょう。

例えば、広告費を抑えたい場合は、入札単価の高いキーワードや広告費が赤字になっているキーワードを広告から外すなどの改善が可能です。

Amazon広告運用でよくある失敗とその対策

Amazon広告を運用する際のよくある失敗とその対策をまとめましたので、ぜひ参考にしてください。

  • 広告費用がかかるだけで商品が売れない
  • ターゲティングミスによる機会損失
  • 間違った入札戦略による無駄な広告費の発生

広告費用がかかるだけで商品が売れない

よくある失敗の1つ目は、広告費ばかりがかさんでしまって商品が売れないパターンです。

広告でどれだけ多くのユーザーを集客しても、商品に魅力がなかったり、商品の良さが伝わらない商品ページだったりすると売上につながりません。

そのため、商品の魅力を高め、商品の良さがひと目で伝わるように商品ページを工夫する必要があります。商品ページを訪問したユーザーのコンバージョン率を上げる施策のうち、すぐにできるものは以下の4つです。

  • 商品の写真を長辺が1600px以上の高解像度にする
  • 写真を複数枚用意する(3枚目以降に使い方や使用イメージが分かるものを追加する)
  • 商品説明に箇条書きを使う
  • 商品の特徴やメリットだけでなく、その商品を利用すると自分の生活がどうなるかをイメージできるようにベネフィットを伝える

ターゲティングミスによる機会損失

よくある失敗の2つ目は、ターゲティングが適切にできていないことによって、広告の成果が正しく発揮されないパターンです。

広告のターゲットにするキーワードや競合商品を選ぶ際は、自社商品との関連性だけでなく、購入につながりやすいターゲティングができているかを意識して選びましょう。

また、広告レポートのデータを継続的に分析して、キーワードの選定やターゲットにする商品の選ぶ際に活用することも大切です。広告レポートの分析結果のACOSなどを参考に、成果の出ていないキーワードは早めに除外すると良いでしょう。

間違った入札戦略による無駄な広告費の発生

Amazon広告では、入札戦略の間違いによって無駄な広告費が発生してしまうこともよくある失敗の1つです。

特に入札戦略で「動的な入札額アップとダウン」を選んでいる場合は、競合の入札が高くないっている場合に自動的に設定した入札額より価格を上げて入札に参加するため、費用がかさみます。

どうしても露出を増やしたい場合以外は「動的な入札額アップとダウン」にせず、ダウンのみにしたり手動にしたりすると良いでしょう。

また、広告レポートを見ながら、自社商品の売れ行きや市場の流れ、競合他社の入札状況を把握しながら状況に合わせて調整していくことも中長期的には大切です。

まとめ:Amazonの広告運用を正しく理解して売上アップを目指しましょう

Amazon広告は、購買意欲の高いユーザーにアプローチできるため、売上向上に直結しやすい広告手法です。

CPCやCPMの課金方式を理解し、適切な入札戦略と予算管理を行うことで、費用対効果の高い広告運用が可能になります。

また、キーワード選定や商品ページの最適化、広告レポートを活用した改善を繰り返すことで、より効果的な広告戦略を構築できるでしょう。

Amazon広告の特性を正しく理解し、適切に活用することで、売上拡大とブランド認知の向上を目指しましょう。